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これまでの“勉強”と全く異なる難しさを持つ“研究”に挑戦しながら、人間として確かな成長を実感。

新潟県立長岡高等学校出身
薬学科3年生 機能分子創成化学研究室所属 今井緋奈子さん
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STEP1 入学から3年次

将来は、薬剤師というイメージで飛び込んだ薬学部。
待っていたのは、研究活動を通し、いかに医療に貢献できるか考え、
試行錯誤する日々。

3年生から研究室での研究活動がはじまり、今は実験漬けの日々を送っています。私の研究テーマは「ヘパリン」という化合物の化学合成です。ヘパリンは現在、ブタ小腸から抽出して精製されています。しかし、ブタ小腸由来の化合物は均一性が低いため副作用やロット差が大きいというデメリットがありました。例えば、過硫酸化されたコンドロイチン硫酸を不純物として含むヘパリン製剤が欧米で死者を出してしまったこともありました。そのため、厳密な品質管理が可能であり、薬効も優れている超低分子合成ヘパリンが期待されています。また、ヘパリンは体内で様々なタンパク質と相互作用するため、構造が明確な合成ヘパリンはそれらタンパク質との相互作用を調べる生化学研究の発展に貢献することができます。自分の研究が、多くの患者さんを助ける発見につながるかもしれない…そうした夢を持ちながらも、理想通りに進まない目の前の実験に悔しさや焦りを感じることもあります。
親が薬剤師であるということもあり、入学前の私は薬学部=研究というイメージを持っていませんでした。元々私は勉強が好きで、薬学部の6年間で、総合科学を深く学び、多くの知識を吸収したいと思っていました。さらに知識を深めたいと進んだ研究の世界は、これまでの勉強とは別物でした。研究では、つまずいた原因がすぐにわからないのです。求める結果に至らない理由を、まずは自分でできる限り調べ尽くしました。高校や大学の勉強では分からないことがあっても調べればすぐに解決しますが、研究では一つわからないことが生じると、次から次へとわからないことが増えていくのです。
ある実験では、澄んだ液体が抽出できるはずなのに、少し濁ってしまいました。その原因をクリアにするために、資料で調べても答えは見つかりません、それならと似たような実験をしている人との違いを見ることにより、ヒントを得て、試薬の量を変えるなど、反応条件を変えてみました。実験では、こうした試行錯誤の連続です。

研究を通して、問題解決力とコミュニケーション力が向上。
その先に見えてきたのは、多様な将来の選択肢。

そうした繰り返しの中で、挫けずに失敗の原因を分析し、問題を解決する力を培えたと実感しています。さらに、周囲の人の考えを聞くことの大切さを改めて知りました。私は、集中すると自分一人の世界に入り込んでしまうタイプなので、失敗していた原因はそこにもあったのかもしれません。こういった経験の中で、人との向き合い方が変わった気がします。
また、子供に勉強を教えるボランティアに参加しているのですが、初めは“問題の解き方を教えよう”と接していました。しかし、研究室での経験から、子どもの話に耳を傾け、分からないことを理解した上で、それを解決することの大切さを知りました。
目に見えるところだけではなく、その背景にあるものを知ると、人とのコミュニケーションが楽しいものになりました。そうした変化もあり、今は地元に帰って、薬剤師として目の前にいる人々をサポートする未来に魅力を感じています。都市部とは違い、地方である私の地元ではまだまだ薬剤師の数は足りていないのが現状なのです。一方で、研究室では担当教授が研究職や企業での薬剤師、あるいは薬剤師以外の活躍の仕方など、多様な未来を提示してくれます。こちらもまた魅力的で、まだまだ将来を決めあぐねています。あと3年、星薬でいろいろなことを吸収し、理想の未来を描いていきたいです。

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