教員紹介
研究室ホームページ
研究室紹介
『タンパク質分解コードを解明し、分解創薬へ 』
『タンパク質分解コードを解明し、分解創薬へ 』
私たちの細胞内では、役目を終えて不要になったり、異常なタンパク質は選択的に分解されています。ユビキチン・プロテアソーム系は細胞内で不要になったタンパク質や異常タンパク質を分解するシステムです。ユビキチン・プロテアソーム系の破綻はがんや炎症疾患、神経変性疾患、老化など、様々な病態につながることが知られています。私たちは、特定のタンパク質が特定のタイミングで分解される原理=「タンパク質分解コード」の解明により、疾患の発症機構の正確な理解と治療への貢献を目指します。
さらに近年、「標的タンパク質分解」が次世代の創薬コンセプトとして脚光を浴びています。標的タンパク質分解はユビキチン・プロテアソーム系を利用して、がんなどの疾患原因タンパク質を分解により細胞内から除去する新技術です。現在、がんの治療薬として臨床試験が行われれるなど、国際的に開発が進んでいます。しかしこの技術を確立するためには作用メカニズムの解明が不可欠です。私たちは「タンパク質分解コード」に立脚して、薬剤の標的タンパク質がいかにして効率良く分解されるのかを解明し、創薬応用につなげる研究=「分解創薬学」に取り組んでいます。
学生のみなさんへ:私たちの研究室では、学生のみなさんには最先端の研究テーマに取り組み、新たな現象の第一発見者になってほしいと思っています。また4年生で学会発表すること、卒論の内容を学術論文として発表することを目指し、研究を発信する・議論する力も身につけていけるよう指導しています。
主な論文
- Akizuki Y, Morita M, Mori Y, Kaiho-Soma A, Dixit S, Endo A, Shimogawa M, Hayashi G, Naito M, Okamoto A, Tanaka K, Saeki Y, Ohtake F.* cIAP1-based degraders induce degradation via branched ubiquitin architectures. Nature Chemical Biology published online, DOI: https://doi.org/10.1038/s41589-022-01178-1 (2022)
- Kaiho-Soma A., Akizuki Y., Igarashi K., Endo A., Shoda T., Kawase Y., Demizu Y., Naito M., Saeki Y., Tanaka K., Ohtake F*. TRIP12 promotes small molecule-induced degradation through K29/K48 branched ubiquitin chains. Molecular Cell, 81 (7) 1411-1424 (2021)