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素粒子と基本相互作用に関する理論的研究

素粒子と基本相互作用に関する理論的研究

 物質を構成する最小単位と考えられている素粒子は,現在,クォークとレプトンであることが分かっています。また,現在素粒子として認められている粒子には,クォークとレプトンの他に次のような粒子もあります。素粒子間に働く4つの基本相互作用(電磁相互作用,弱い相互作用,強い相互作用,重力相互作用)を媒介する量子として考えられるゲージ粒子(光子,ウィークボソン,グルーオン,重力子),粒子の質量の起源と考えられているヒッグス粒子です。現在のところ,これらのすべての素粒子や相互作用を統一的に扱える理論はまだ完成していませんが,重力を除く他の素粒子と相互作用についての統一的な記述は「場の量子論(量子場理論)」という量子論の枠組みの中でできるようになり,かなりの成功を収めています。

 一方,重力相互作用を記述できる理論として,アインシュタインにより作られた「一般相対論」があり,宇宙の銀河や天体の研究の基礎理論になっています。しかし,この理論は量子論ではなく,重力相互作用を他の相互作用と統一的に記述するためには,重力相互作用も含む量子論が必要になりますが,今のところ未完成で,現代物理学の研究において未解決問題の一つとして挙げられています。

 この量子重力も含み,すべての素粒子と4つの基本相互作用を統一的に記述できる理論がもし完成したとすると,それは超ミクロな世界から超マクロな世界までを一貫して説明できる理論になると予想されています。その最有力候補として,「超弦理論」が多くの素粒子論研究者に注目され,研究されています。

 当研究室では,この「場の量子論」,「一般相対論」,「超弦理論」に関するテーマを研究しています。これらの物理を統一的に理解する考え方の1つとしてホログラフィー原理とよばれる考え方が提唱されました。この原理の特殊な場合は,超弦理論の中で「Ads/CFT対応」とか「ゲージ/重力対応」とよばれている考え方です。当研究室ではこの考え方を有限温度系に拡張できるかどうかを模索しております。この研究でキーポイントになる事柄が「量子エンタングルメント」とよばれる効果です。この効果を具体的に表す量としてエンタングルメント・エントロピーが知られており,この量を有限温度系に拡張する方法として熱場ダイナミックスの方法が有効であることを示しました。このような計算方法を上記のホログラフィー原理の考え方に当てはめて,有限温度系での統一的な理解が得られることを目標として研究を進めております。

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