近年、運動をすることが身体に良いとされるエビデンスが、生理学をはじめ、生化学、組織学など様々な解析法により報告されております。
運動科学研究室は、運動と「+α」による効率的な運動療法を確立することにより、新規の統合医療の一つとして提案することを目指しております。その運動に併用するプラスαには、「生理活性ペプチド」、「アロマセラピー」さらに「サプリメント」などをソースとし、以下の3つのテーマを掲げて研究を行っております。
肥満解消の為の新規運動療法の構築を目指し、運動と摂食関連ペプチドの一つである抗肥満作用を持つガラニン様ペプチド(Galanin-Like Peptide:GALP)の点鼻投与を併用させ、その効果を、マウスを用いて分子レベルで検証しています。また、認知症の予防および改善を目指し、神経軸索の伸長に関与する下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ポリペプチド(Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide:PACAP)と運動を併用し、海馬におけるニューロンの神経再生を組織学的解析や行動解析からその作用を検証しています。
アロマセラピーに使用される精油は、抗ストレス作用をはじめとし、抗菌、抗うつ、痛み緩和など、様々な薬理作用を持つことが明らかとなっており、近年、医療現場では、「メディカルアロマセラピー」として導入されています。しかし、その効果の科学的検証が少ないのが現状です。そこで本研究室では、精油の様々な効果を培養細胞、動物、およびヒトで検証し、メディカルアロマセラピーの確立に向けたビデンスの構築を目指しています。
近年、スポーツの現場では、精油を用いたスポーツトリートメントや芳香療法が行われ、競技における心身の疲労回復やパフォーマンス向上を期待した「スポーツアロマ」が注目されています。そこで我々は、ヒトと動物にて、運動疲労後の芳香浴の効果を、各種ホルモン分泌から検証しています。また、マウス筋芽細胞株を用いた「in vitro Exerciseモデル」を使用し、精油添加による健康促進作用をマイオカイン分泌や遺伝子発現の変化をDNAアレイ解析から検討することで、精油トリートメントの効果を生化学的手法で解析しています。