薬はいつ、どれだけ飲めばいいのだろうか。薬は適量を飲めば目的とする効果をあげられるが、過剰になれば副作用というかたちで体に害を及ぼすものになる。
薬動学の研究目的は薬物の体内動態、つまり服用した薬の吸収、分布、代謝、排泄を総合的に研究し、個々の患者への適正な用法・用量を決定するところにある。
「薬といえども体にとっては異物であり、体にはそれを排除しようとするメカニズムが備わっています。服用した薬は血液中に移行する前に、まず肝臓を通過しますが、その時に一部が分解(代謝)されます。代謝されなかった薬は体内をめぐってまた肝臓にもどり、同じことが繰り返されます。新しく開発された薬や問題が生じた薬の肝臓での分解の様子、体内での分布の様子、排泄までの時間などを調べ、薬が適正に使用されるための基礎データを提供しようと考えています。」
近年、晩婚化によって、高齢出産が増加しつづけており、不幸にも妊娠中に病気になる場合がある。原則、妊娠中の薬の服用は胎児への影響が大きいため、推奨されていない。しかしながら、がんやてんかんなどで、やむを得ず薬物治療を行う場合がある。
当研究室では、このような妊娠中の薬物の服用によって、胎児中の薬物の動態を解析するために、動物や細胞を用いた基礎研究を行っている。また、胎児への影響を発生学や毒性学的観点からの解析も行なっている。
薬学部だけでなく、さまざまな領域の人との共同研究を行いたいと考えておりますので、興味がある方は誰でも気軽に連絡ください。