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受賞情報等
2017.06.26

馬島 美紀さん(機能形態学研究室 6年)が日本薬学会第 137 年会にて学生優秀発表賞を受賞しました

日本薬学会第 137 年会 学生優秀発表賞を受賞して

機能形態学研究室  6年 馬島 美紀

 日本薬学会第 137 年会 (2017 年3月24~27日) にて、学生優秀発表賞を受賞致しました。受賞の発表タイトルは「2型糖尿病 Goto-Kakizaki ラット頸動脈における収縮反応と 3-phosphoinositide-dependent protein kinase 1 の関連」です。このような素晴らしい賞を賜りまして非常に光栄です。以下に研究の概要を簡単に紹介させていただきます。

 現在、生活習慣病の一つである糖尿病は、国内外で重要な疾病と位置づけられ、糖尿病に関連する合併症はquality of life を著しく低下させることから、糖尿病性合併症の発症・進展の抑止が非常に重要な課題となっております。糖尿病性合併症の発症・進展においては、全身に走行している血管の機能障害が大きく関与することが知られており、当研究室においても、生活習慣病時における血管機能障害の研究を継続して行っております。その中で、私は、血管機能にどのような役割を果たしているのか未だ不明であるリン酸化酵素の3-phosphoinositide-dependent protein kinase 1 (PDK1) に着目して研究を行いました。

 PDK1は、様々な細胞機能に関与することが明らかとなりつつありますが、血管機能、特に血管収縮におけるPDK1の関与は不明な点が多く、2型糖尿病における血管収縮反応に対するPDK1の関与については明らかではなかったため、自然発症2型糖尿病モデルであるGoto-Kakizaki (GK) ラット頸動脈の収縮反応に対するPDK1の役割について薬理学的に検討を行いました。雄性GKラットおよび対照Wistarラットより、頸動脈を摘出し、セロトニン、フェニレフリン、トロンボキサンA2アナログ累積収縮反応に対するPDK1選択的阻害薬の影響をNO合成酵素阻害薬存在下にて測定しました。GK群において、Wistar群と比較してセロトニン収縮は増強し、PDK1選択的阻害薬処置によってGK群のみ、セロトニン収縮は抑制され、両群の収縮反応の差が消失しました。フェニレフリン収縮およびトロンボキサンA2アナログ収縮はWistar群と比較してGK群で増加が認められました。これらの収縮は、PDK1選択的阻害薬処置によってGK群、Wistar群いずれにおいても抑制しました。以上の結果は、血管収縮物質によってPDK1の関与が異なることを示唆し、また、2型糖尿病頸動脈における5-HT収縮増強にPDK1活性化が寄与している可能性が示唆する結果となり、病態下における血管収縮異常の形成にPDK1が関与することを示唆した重要な知見であります。

 最後に、本研究の遂行にあたり、多大なるご指導、ご鞭撻を賜りました機能形態学研究室 小林 恒雄 教授、松本 貴之 講師、そしてご協力いただきました、田口 久美子 助教をはじめとする機能形態学研究室の皆様に厚く御礼を申し上げます。

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