日本薬学会第135年会 優秀発表賞を受賞して
機能形態学研究室 5年
松原 花歩
日本薬学会第135年会 (2015年3月25~28日:神戸) にて、標記の賞を受賞いたしました。
私達の研究室では、生活習慣病病態時における血管機能障害のメカニズムについて研究を行っており、特に糖尿病病態下における様々な動脈の機能、すなわち収縮弛緩反応についての研究を行っています。現在、糖尿病、特に二型糖尿病は世界中で激増しており、この糖尿病と高血圧は密接に関わっております。一説では糖尿病患者の40~60%は高血圧である、とまでも言われています。今回はこの糖尿病と大きく関係している高血圧がそれぞれの血管に対してどのような影響を与えるかについてモデル動物を用いて動脈部位別に検討し、発表いたしました。
今回、中心的に検討いたしました心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) は、血管を拡張させ、血圧を下げる効果があると報告されています。しかし、高血圧時このANPが頸動脈や、腎動脈、大腿動脈に対してどのような影響を与えるのか、ということについては報告がなされていなかった為に今回実験を行いました。
その結果、弛緩反応には動脈部位によって減弱に差があることがわかりました。さらに、頸動脈でのみANP誘発弛緩反応の減弱が見られ、その機序が内皮や一酸化窒素以外のものが関与しているということを見出しました。今後は、この頸動脈におけるANPによる弛緩反応の機序についてさらに詳細に調べていきたいと思っております。
最後になりますが、本研究の遂行におきまして多大なるご支援・助言を賜りました機能形態学研究室 小林 恒雄 教授、松本 貴之 講師、そしてご協力下さいました、田口 久美子 助教に感謝致しますと共に、大学院生、卒論生の皆様心より御礼申し上げます。そして最後に、本研究の礎となった多くの動物たちが心安らかであることを願ってやみません。