第9回日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会大会 優秀賞を受賞して
実務教育研究部門 講師 石塚 和美
第9回日本ファーマシューティカルコミュニケーション学会大会(2015年5月24日;東京)にて、標記の賞を受賞いたしました。受賞演題は「倫理的ジレンマに関する教育プログラムの導入と有用性の評価」です。以下に簡単に説明いたします。
改訂薬学教育モデル・コアカリキュラムでは、倫理面に対する重要性が指摘され、より一層の教育が求められています。しかし、臨床現場において薬剤師が抱える倫理的問題への対応に着目した大学での教育手法については模索が続いている現状があります。担当教科である「信頼関係」の中で臨床現場における倫理的ジレンマを題材としたプログラムを実施し、有用性について検討を行いました。病棟での実務実習中にがん患者さんから「治療で副作用症状が出ているが、治療を続けたいので隠している、ここだけの話にしてほしい」と打ち明けられたというシナリオを作成し、個人ワークやスモールグループディスカッションを通して、実習生の立場として選択すべき行動などについて検討をしてもらいました。
最後に本プログラムの目標に対する学生の到達度やプログラム内容に対する評価を行いました。その結果、約8割の学生は学習目標が理解できたと回答したことから、臨床現場の倫理的問題を題材とした本プログラムは有用であったと考えられました。さらに解析結果から、興味があって自ら取り組めるかがプログラムの到達度に影響していると考えられ、本プログラムを浸透させるためには、今後学生に対する動機づけの必要性が示唆されました。今回の結果を活かし、より良いプログラムにしていきたいと考えております。
最後に、本研究の遂行にあたり、ご協力を賜りました薬剤師職能開発研究部門の湯本哲郎准教授、北里大学薬学部 薬学教育研究センター 医療心理学部門の有田悦子准教授、ご支援下さいました皆様に心より御礼申し上げます。