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受賞情報等
2015.07.01

須藤涼さん(総合薬科学 博士3年)が第47回日本結合組織学会学術大会にてYoung Investigator Awardを受賞しました

第47回日本結合組織学会学術大会 Young Investigator Awardを受賞して

組織再生学 博士課程3年 須藤 涼

  第47回日本結合組織学会学術大会(2015年5月15-16日:東京)にて、Young Investigator Awardを受賞いたしました。受賞演題名は「Latent TGF-β binding protein 1がFibrillin-1線維形成に与える影響」です。強皮症等に代表される組織の異常な線維化は組織障害による慢性的な炎症を基盤とする疾患であり、細胞外マトリックス (ECM) の異常沈着が主たる要因です。一方で、強皮症患者の皮膚ではコラーゲン線維は増加するが、ECMの一種であるFibrillin-1線維の形成不全が認められている。Fibrillin-1線維は ECMタンパク質の合成促進因子であるTGF-βの不活性体を保持する機能を有しており、その減少はTGF-βの異常活性化を招くことから、Fibrillin-1線維を再生させ細胞外環境を適正化することが線維性疾患の新たな治療戦略になり得ると考えられます。
 これまでの遺伝子改変マウスを用いた解析報告から、我々はFibrillin-1の遺伝子変異時と同様のPhenotype (心臓弁の異常) を示すLatent TGF-β binding protein (LTBP) 1Lに着目し、LTBP1LがFibrillin-1線維形成に与える影響を検討しました。皮膚線維芽細胞にLTBPL1Lを導入したLTBP1L安定発現細細胞では、対照群と比較して細胞増殖能の低下及びTGF-β signalingの抑制、さらにFibrillin-1線維量の有意な増加が認められました。これらのことから、LTBP1L発現の増加は線維性疾患の進展要因である細胞の異常殖増殖並びにTGF-β signalingを抑制し、さらにFibrillin-1線維形成促進によるTGF-βの保持・安定化を促す可能性が示唆され、LTBP1Lが線維性疾患の新たな治療標的となり得ることが期待されます。
 最後に、本研究を遂行するにあたり、終始御指導、御協力頂きました教育実習センター/組織再生学 輪千浩史教授、薬剤師職能開発研究部門 里史明講師並びに教育実習センター/組織再生学の皆様に深く御礼を申し上げます。

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