日本薬学会第142年会 学生優秀発表賞を受賞して
生体分子薬理学研究室 修士1年 西中 ゆい
この度、日本薬学会第142年会(2022年3月25〜28日)におきまして、学生優秀発表賞を受賞いたしました。このような栄誉ある賞をいただきまして大変光栄に思っております。受賞演題名は「メラニン産生に及ぼすホエイの影響と活性成分の探索」です。以下に本研究の概要を紹介させていただきます。
近年、国民の美容意識の向上に伴い、美白化粧品、日焼け止め化粧品、シワ・たるみ防止化粧品などの化粧品が開発されています。これらは機能性化粧品と呼ばれ、その需要は非常に高まっています。なかでも、美白化粧品の市場規模は年々拡大しており、皮膚の色素であるメラニンを抑えるための素材が多くの企業で探索されています。私たちは、皮膚保湿機能を有することが知られている乳酸菌発酵物「ホエイ」の新たな作用を見出す目的で、メラニン産生に及ぼす影響を調べました。
マウスメラノサイトB16細胞にホエイを添加した結果、ホエイはメラニン産生を著明に抑制することが明らかとなりました。また、ホエイはメラニン産生に重要な酵素であるチロシナーゼの発現および活性を低下させることがわかりました。さらに、ホエイを分画し、同様に検討したところ、ホエイ中の分子量3 kDa以上の画分において、強いメラニン産生抑制作用があることが明らかとなりました。以上の結果から、ホエイは美白化粧品としての有用な素材になり得ると考えらえました。今後、ホエイによるメラニン産生抑制作用の詳細なメカニズムや活性本体を明らかにし、ホエイの有用性を立証し、美白化粧品への応用につなげていきたいと思います。
最後に、本研究の遂行にあたり、多大なるご指導・ご鞭撻を賜りました生体分子薬理学研究室の細江智夫兼任教授、酒井寛泰准教授、五十嵐信智講師、今理紗子特任講師に深く感謝いたします。そして、ご協力くださいました生体分子薬理学研究室の大学院生および卒論生の皆様に心より御礼申し上げます。