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受賞情報等
2016.05.12

唐澤武司さん(薬理学教室6年生)が第136回日本薬学会年会にて学生優秀発表賞を受賞しました

第136回日本薬学会年会 学生優秀発表賞を受賞して

薬理学教室 薬学部6年生  唐澤 武司

  日本薬学会第 136 年会 (2016 年3月26〜28日:横浜) にて、学生優秀発表賞を受賞致しました。このような栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。受賞演題名は「新規薬物担体としての間葉系幹細胞の開発と評価:抗腫瘍タンパク MDA-7 の分泌制御」です。以下に本研究の概要を紹介させていただきます。

 がん治療は目覚ましい発展を遂げている一方で、未だ副作用を伴う治療が継続されています。特に従来から使用されている抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)には、重大な副作用を伴うことから患者さんの quality of life の低下が問題となっております。そのため、がんに特異的でかつ、副作用の少ない治療の開発が急務な課題となっています。

 間葉系幹細胞は腫瘍組織に集積することが報告されており、本研究では、新たな薬物担体として間葉系幹細胞に着目致しました。さらに、MDA-7 (Melanoma-differentiation-associated gene 7 別名: IL-24)と呼ばれる抗腫瘍物質に着目し、これらを用いた新たながん治療法の開発を目指しました。MDA-7 は元来、生体内に存在している因子であり、これを処置しても従来の抗腫瘍薬より正常細胞に対するダメージが少ないと報告されています。今回の研究では、間葉系幹細胞の遺伝子を改変して MDA-7 の分泌を制御するためのシステムを構築し、さらにその間葉系幹細胞の特性を評価しました。その結果、MDA-7 の分泌制御および、分泌された MDA-7 はがん細胞の成長に不可欠な新生血管構築を抑制し、がん治療における本研究の有用性が示唆されました。

 本研究より、腫瘍組織への特異的なターゲティングを可能とする間葉系幹細胞を用いた MDA-7 の分泌制御を主体とする治療は、局所的かつ副作用の少ない治療法として有用である可能性が示唆されました。今後もこの成果をさらに展開させ、がん治療のさらなる発展の一助になることを期待しております。

 最後に本研究を遂行するにあたり、多大なご指導を賜りました薬理学教室の成田 年 教授、先端生命科学研究センターの加藤 良規 准教授、そして協力していただいた相良 篤信 大学院生をはじめ、薬理学教室および先端生命科学研究センターの先生方に厚く御礼を申し上げます。

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