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受賞情報等
2016.11.16

Andang Miatmokoさん(医療薬剤学教室 博士課程3 年 )が2016 Mogan Mountain International Summit on Green Pharmaceuticalsにて Student Paper Competition Awards (Second Prize Winner)を受賞しました

2016 Mogan Mountain International Summit on Green Pharmaceuticalsでの Student Paper Competition Awards (Second Prize Winner)を受賞して

医療薬剤学教室 博士課程3 年 Andang Miatmoko

 2016年11月 3日〜4日に中国・浙江省・杭州市で開催された国際シンポジウム”The 2016 Mogan Mountain International Summit on Green Pharmaceuticals (ISGP 2016) “に研究発表のため参加し、Student Paper Competition AwardsのSecond Prize Winnerを受賞することができました。ISGP 2016は、本学と学術交流協定を締結している中国の浙江工業大学のGreen Pharmaceutical Collaborative Innovation Centerが主催する学会であります。受賞演題タイトルは、”Antitumor Activity of Liposomal Doxorubicin Prepared with Drug Trapping Agent”です。以下に本研究の概要を紹介させていただきます。

 抗がん薬のドキソルビシン(DOX)は、幅広いがんの治療に用いられていますが、全身に作用するため重篤な副作用を引き起こします。そのため、がんに特異的にDOXを送達することで副作用を軽減するとともに、高い抗がん効果を得ることができる新しいドラッグデリバリーシステム(DDS)製剤の開発が必要とされています。DOXのDDS製剤として、脂質二重膜から構成されるナノサイズの閉鎖小胞であるリポソームが着目されています。DOXを封入したリポソーム製剤は、静脈内投与後、全身循環しますが、正常組織の毛細血管からは血管外に漏出せず、不完全な構造を持つがんの毛細血管からは血管外に漏出するため、がん組織に特異的にDOXを集積させることが出来ます(EPR効果)。そのため、DOXの正常組織への移行性を抑制することで副作用を軽減できる一方、DOXをがんへ効率よく送達させ、高い抗腫瘍効果を得ることが出来ます。

 私は、リポソーム内に封入したDOXの安定性を改善することで、静脈内投与後のDOXの血中滞留性を高め、高い抗腫瘍効果を誘導できるDOX封入リポソーム製剤を開発できるのではないかと考えました。そこで、負電荷ポリマーであるポリ-L-グルタミン酸 (PGA)を封入したリポソーム製剤を調製し、このリポソーム内に正電荷を有するDOXを封入することで、リポソーム内でのDOXとPGAの静電的相互作用によりDOXを安定に保持できるDOX封入リポソーム製剤を開発しました。このリポソーム 製剤をマウスに尾静脈内投与したところ、DOXの血中滞留性が改善され、さらに、肺がん細胞を皮下移植した担がんマウスに対して、高い抗腫瘍効果を得ることに成功しました。これらの結果は、リポソーム内でPGAとDOXが相互作用することにより安定にDOXが保持された結果と推察しています。今後は、臨床応用できる安全性の高いがん治療用のリポソーム製剤の開発を目指して、研究に取り組んでいきたいと考えています。

 最後に、多大なご指導を賜りました医療薬剤学教室の大西啓 教授、服部喜之 准教授、川野久美 助教をはじめ、医療薬剤学教室の皆様に心より御礼申し上げます。また、発表の機会を与えて頂きました田中 隆治 学長ならびに薬物治療学教室の亀井 淳三 教授に厚く御礼申し上げます。

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