四重極飛行時間型質量分析装置では、まず分子をイオン化して四重極とよばれる電圧のかかった4本の金属ロッドで質量ごとに分離させ、選択的にイオンを通過させます。
通過してきたイオンは電気的な力で、飛行時間セルを通過します。ここでは、軽いイオンは速く、重いイオンは遅く、質量に応じて異なる速度で移動するため、精密な質量測定が可能となります。なんと、整数質量がともに28である一酸化炭素と窒素分子が区別できるくらいの分解能を有しています。
核磁気共鳴装置は、有機化合物の構造決定が主な利用目的で、水素原子(1H)および炭素原子(13C)の核を観測することで、化合物の分子構造を非破壊で明らかにすることができます。試料を重溶媒に溶かしサンプルチューブにいれて、超電導マグネットの中心部分に挿入し、ラジオ波を利用して測定します。写真のJNM-ECZL400は、試料のセットが安全かつ自動的に行うことができるオートサンプラーが付属しており、化学合成の各段階の確認など、化学系の学部学生、大学院生の研究論文のため、利用頻度の高い装置です。
結晶試料にX線を照射し、試料分子の電子により散乱・干渉されたX線(回折X線)を測定することにより、結晶を構成する分子の三次元構造を解明する装置です。また、高感度CCDカメラを搭載しており、0.1mm角以下の微小な結晶も測定可能です。さらに、X線照射による結晶崩壊や化学的不安定性を有する結晶の自然分解を防止する冷窒素ガス吹付け装置も備え付けています。化学系分野・製剤系分野 等多くの研究分野で利用される装置です。
分子の解析が重要な役割を果たす研究分野の1つに、有機合成化学があります。眞鍋教授が行っている「糖鎖」の解析もその一つです。興味がある方はぜひ特集記事を確認してください。
細胞や組織切片の高解像度観察を可能にする顕微鏡の一種で、蛍光標識を用いてタンパク質などの細胞内挙動の観察に使用します。焦点距離の異なる(厚みのある)試料であっても鮮明な光学断面像が得られ、三次元画像を構築することで細胞や組織などの微細構造を立体的に解析できます。こうした技術は、細胞構造や機能の分子レベルでの理解に役立ち、創薬の一助となります。
リアルタイムPCR装置は、目的とする特定の遺伝子だけを狙って、極めて少量の生体試料から簡便かつ迅速に遺伝子発現レベルを測定することができます。
新型コロナウイルス感染症の検査でも話題となった本装置ですが、研究現場においても、様々な病気を理解するための基礎研究から、新しい治療法の開発に向けた応用研究まで、幅広く活躍しています。