薬剤師の道を志して薬学科を選びました。星薬を選んだのは、国家試験の合格率などを重視していたからです。また、高校の先生から「薬学部を卒業して化粧品をつくる道もある」と教えていただいたことも大きな後押しになりました。当時は化粧品業界を強く意識していたわけではありませんでしたが、その言葉がずっと心に残っており、薬学部を志すうえで「化粧品づくりも面白そうだ」と感じられたことも原動力となりました。
今振り返ると、星薬で最も印象に残っているのは、周囲に努力家が多かったということです。薬学科は薬剤師国家試験の合格という明確な目標があるため、6年間、授業も、テストも、厳しいものでした。特に6年生の時は、国家試験の勉強をしながら研究室にも通い、就職活動も重なりハードな1年でした。それでも、先輩や同級生の多くは、時間の使い方やリフレッシュの方法を工夫し、バランス良くすべてに取り組んでおり、そこから学んだことは数え切れません。与えられた課題に対して実直に、それぞれのやり方で着実に成果を出す仲間に囲まれ、星薬という環境で切磋琢磨した経験は、就職後の自分の強みになっていると感じています。
いま研究職として働く立場から振り返っても、星薬の研究レベルは高く、研究に向き合う学生の前向きな姿勢も非常に印象的でした。好奇心が旺盛で、自分のテーマに興味を持って、結果を出すのが上手な学生が多かったように思います。
私は卒業研究として、生体分子薬理学研究室を選びました。冒頭でお話した化粧品のことがずっと頭にあり、皮膚に関する研究に関心を抱いたからです。ただ、化粧品そのものではなく、薬学部生だからこそ取り組める医療的なテーマとして、『抗がん剤による皮膚障害』に向き合いました。乾燥や痒みが強いと、患者さんが服薬を続けにくくなることがあります。そこで、皮膚という身近な対象を通じて、服薬継続をどのように支えられるかを考え、測定法の選定や条件検討、データ解釈まで根気強く取り組みました。研究では思うように結果が出ないことも多く、行き詰まりの中で次の一手を探す粘り強さが求められます。そうした過程の先で、仮説に近い挙動が察知できた瞬間の高揚感——この感覚は、今の仕事の醍醐味に直結しています。
現在は、化粧品メーカーで洗顔料の開発に携わっています。企画担当部門からの依頼を形にするのが私たちの仕事です。例えば「冬用のしっとり感」や「20代が喜びそうな洗い上がり」といった要望に対して、どの成分を使えば狙い通りの感触になるかを考え、日々試作と評価をくり返しています。ヒアルロン酸やクレイ(泥)など扱う原料は多岐にわたり、トライ&エラーの連続です。
担当は基本的に一人でひとつの製品を受け持ちますが、私はうまくいかない時ほど周りの人に助けを求めるようにしています。このやり方は研究室時代に身についたもので、星薬では先生や先輩・同級生と失敗や仮説を持ち寄り、みんなで議論しながら次の一手を決めていくのが日常的でした。現在もその延長で、配合の方法で行き詰まった際には周囲と一緒に考え、視点を増やすことで解決の糸口が見つかります。研究で培ったコミュニケーション力と“チームで進める感覚”が、研究開発の現場で確実に活きていると実感しています。
実は、薬学科から化粧品業界に進む人はあまり多くありません。病院や薬局、ドラッグストアで薬剤師として働く人が多く、企業や公務員といった道に進む人が2〜3割程度です。その中で多いのは、製薬会社です。私も、周りに化粧品業界を目指す人がいなかったこともあり、自分からは遠い道だと思っていました。しかし、星薬の就職支援担当の方が、現在の会社のインターンシップを紹介してくださったことがきっかけとなり、この進路にたどり着きました。高校時代の恩師の言葉と同じように、こうした周囲からの情報やアドバイス、そして、人との出会いが、私の人生を大きく変えてくれました。私の職場は、現在、薬剤師は私一人です。しかし、これからは薬だけではなく、さまざまな面で人の健康に関わり、支えていくことが求められる時代になっていくと感じています。薬学で身につける幅広い知識は、多くの場面で生かすことができます。ぜひ、自分の視野を広げるために、星薬で多くを学び、周囲の人から良い影響をたくさん受けながら、未来の可能性をひろげてください。
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