2025年9月30日(火)、星薬科大学 新星館HALにて、「第2回 情報通信技術(ICT)学内展示会」を開催しました。本展示会は、単にICT機器を紹介する場ではなく、それらを活用することで薬学教育にどのような変化が生まれるのかを体感的に伝えることを目的としています。教員には、ICTツールの導入がより直感的で伝わりやすい授業づくりにつながる可能性を、学生には、こうした機器を通じて学ぶことで抽象的な知識が具体的に理解できる学びに変わることを、それぞれ実感してもらう機会となるよう企画されました。さらに、ICT技術を“特別なもの”ではなく、誰もが身近に使える教育資源として認識し、学びや教育に積極的に取り入れていけるようになることをねらいとしています。2回目となる今回は、昨年度の好評を受けて出展企業数・展示内容ともにスケールアップし、多くの来場者でにぎわいました。
今年度は、医療・教育・ICT分野で活躍する14社の企業・団体にご出展いただき、薬学の教育・実習・研究に活用可能な最新技術や教育支援ツールが多数紹介されました。たとえば、クラウド型電子薬歴や持参薬鑑別支援システム、心肺蘇生トレーニング用の患者シミュレータ、デジタル解剖台やVR教材など、座学では得がたい学びを“体験”として提供する機器が会場を彩りました。学生は、普段の授業で学ぶ知識を、自らの手で操作・体感することにより、よりリアルに、より深く理解する機会を得ていました。また教員からは、「教育支援ツールを授業に組み込むことで、学生にとってわかりやすく具体的に伝えられる手段が広がる」といった声もあり、教育の質を高めるヒントが得られる場にもなりました。企業にとっても、薬学部の学生や教員と直接対話できる機会は貴重であり、現場のニーズと技術提供の接点を探る好機となりました。
| 企業名 | 展示内容 |
|---|---|
| 株式会社カケハシ | クラウド型電子薬歴 Musubi |
| レールダルメディカルジャパン株式会社 | 患者シミュレータ・心肺蘇生トレーニングツール |
| 株式会社JSOL | マルチスケールシミュレーションソフトウェア J-OCTA |
| 株式会社内田洋行 | 瞬時に可視化できる支援ツール(PF-NOTE “ピーエフノート”) |
| harmo株式会社 | 電子版お薬手帳を活用した情報連携・薬剤確認機能 |
| 株式会社モルシス | 分子モデリングソフトウェア「MOE」 |
| 株式会社ユヤマ | 持参薬鑑別支援システム mobile TabJudge |
| 株式会社京都科学 | 模擬患者シミュレータ・VR教材 |
| Anatomage Japan株式会社 | デジタル解剖台 |
| シミックホールディングス株式会社 | harmoワクチンケア for healthcare worker |
| 電子システム株式会社 | 実習授業・シミュレーション教育支援システム |
| 日本テクノ・ラボ株式会社 | OSCE実施支援・評価システム |
| パナソニック コネクト株式会社 | 多視点3D解剖教育システム MeAV Anatomie 3D、Panopto360°カメラ |
| ソルベンタム合同会社 | 3M™ ベアーハガー™ 深部温モニタリングシステム |
展示会後のアンケートでは、多数の教員・学生より「先端の技術や豆知識を知れてよかった」「患者シミュレータやデジタル解剖台を導入してほしい。」「実際の講義における理解に役立つと思った」といった感想が寄せられました。学生たちは、ICT機器を実際に体験することで、講義で学んだ知識が現実と結びつき、学びが“自分ごと”として立体的に捉えられるようになったと語っています。一方、教員からは「ICTツールを取り入れることで授業設計の幅が広がる」「学生に伝わる形で教えられる可能性を感じた」との声があり、教育方法そのものを見直す契機にもなりました。このように、展示会は単なる技術紹介の場ではなく、教育と学びのあり方を考え直す“共創の場”として機能しています。第1回からの継続開催により、「興味があるから行く展示会」から「教育をより良くするために欠かせない学内の取り組み」へと進化しつつあります。星薬科大学は今後も、ICTを“選べる技術”ではなく“前提として活用する環境”と位置づけ、教える側と学ぶ側がともに成長する新しい薬学教育のかたちを追求してまいります。
ご協力いただいた出展企業・団体の皆さま、ご来場いただいた皆さまに、心より御礼申し上げます。次回はさらにパワーアップした内容で、皆さまをお迎えできるよう準備を進めてまいります。どうぞご期待ください。
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