一般社団法人日本毒性学会 田邊賞を受賞して
生命機能創成科学研究室
助教 大塚まき
この度、日本毒性学会において「Development of a new in vitro assay system for evaluating the effects of chemicals on DNA methylation」の論文が田邊賞を受賞いたしました。日本毒性学会の機関誌であるJournal of Toxicological Sciences(Regular Issue)に掲載された論文の中で、優れた研究または将来性のある研究に与えられる賞になります。
様々な研究分野で注目されているエピジェネティクスは、病気や体質を構成する要因の1つとして注目されており、化学物質の作用によるエピジェネティック制御の異常(エピジェネティック毒性)が疾患発症に関わることが示唆されています。そして、エピジェネティック毒性研究を進めるためには、エピジェネティック毒性を有する化学物質を同定するスクリーニング手段を確立することが重要です。
そこで本研究では、新規in vitroエピジェネティック毒性評価システムの構築に取り組み、簡便かつ正確に化学物質のDNAメチル化影響を評価する細胞システムの構築に成功いたしました。定量的に測定可能なルシフェラーゼをレポーターとし、DNAメチル化程度の異なる2種類のプロモーターを用いて、DNAメチル化の増加と減少の両方を検出可能とするシステムになっています。今後、エピジェネティック毒性検討研究における有用なツールの一つとなることを目指し、さらなる検出感度の向上を図っていきます。
最後に、責任著者の本学研究室教授・五十嵐勝秀先生、共同研究者の東京農工大学・渋谷淳先生、東北大学・種村健太郎先生、テキサス大学サウスウエスタン医学センター・山本直樹先生をはじめ、本学研究室の学生の皆様にも大変お世話になりました。厚く感謝と御礼を申し上げます。