高校生の時に、3か月のアメリカ留学や、インドでのプログラムに参加した経験がありました。しかし、今回の留学への参加は、就活との兼ね合いで忙しいのではと考え、募集期間の最後まで迷っていました。
転機が訪れたのは、ちょうど募集期間終盤のその時、以前インドのプログラムで出会ったアルゼンチン出身の友人と日本で再会する機会があったのです。その友人との再会を通じて、私は「英語ひとつで世界が広がる嬉しさや感動」を鮮明に思い出しました。そして、「もっと国際的な友人関係を築きたい」という思いが強くなりました。
さらに、薬学生として、医療制度や患者様との接し方における日米の違いを具体的に学びたいという専門的な目的も、大学5年次に行われた薬局・病院実習を通じて参加を後押しする強い動機となりました。
こうした「学生として留学できるのはこれが最後の機会かもしれない」という思いも重なり、結果として、一人で参加することへの不安もありましたが、それ以上に好奇心や学習意欲が勝り、参加を決意しました。

パシフィック大学では、一、二年生の学生と一緒に授業を受けました。様々な講義スタイルを経験できただけでなく、OSCE(客観的臨床能力試験)のような実践的な薬学教育の演習もありました。
特に印象的だったのは、多くの授業でグループワークが取り入れられていた点です。例として、アメリカの法律について写真を使って発表したり、症例解析を行ったりする課題がありましたが、これらは主体的な学習となり、知識がより強く定着したと感じています。また、自身の将来像を考察するために、毎年ポートフォリオを作成する授業も特徴的でした。これは、自分が働くうえで何を重視するのかを明確にしていくためのものです。学生によっては、一年前の自分と回答が大きく異なっているケースも見られ、大学生活を通じて価値観や考え方が大きく成長・変化していることを実感しました。学習内容に関しては、本学で既に履修した範囲も多かったため、その分、専門知識を英語でどのように表現しているかに集中することができました。特に、授業を担当される先生方は、専門的な内容を端的に、かつ平易な英語表現を選んで分かりやすくまとめて話されるため、複雑なトピックであっても理解を深めることができました。

留学開始後の初めの2週間は、自炊をしたり、日本から持参した食品を食べたりして過ごしていました。しかし、次第に友人ができ、おすすめのお店を教えてもらったり、一緒に出かけたりするようになりました。残りの3週間は「今しか経験できない現地の物を食べたい」という想いが強くなり、積極的にローカルな味を楽しんでいました。特にポートランドらしさが出るフードトラックはよく利用していました。アメリカの料理は基本的にボリュームがあり、1食では食べきれないことも多かったのですが、食べきれない分は持ち帰り用の容器に入れてもらう文化が根付いているため、次の食事に回すなどして食費を節約していました。最後の1週間は、友人やお世話になった方々との別れを惜しむ時間となり、昼夜ともに外食する日も珍しくありませんでした。最後の最後までお腹は一杯の状態でしたが、それも含めて、留学の最後にたくさんの食文化を体験できた良い思い出です。

滞在先は、Furnished Finderで一人部屋を見つけて借りました。他の階にはオーナーの方が住んでいらっしゃいましたが、その方々が大変親切にしてくださいました。まるでホストファミリーのように毎日コミュニケーションをとり、私のことを気にかけてくださる方でした。最後にはお別れのディナーに誘っていただき、一緒に最後の時を過ごすことができました。立地も、市内の主要な電車であるMAXの始発駅が目の前にあり、大学からも徒歩20分という、安全で非常に通いやすい場所でした。
天候は非常によく変化します。雨が降っていたのに急に晴れたり、その逆も然りだったりしました。体感ですが、留学期間の6割ほどは雨だったように思います。とはいえ、土砂降りのようになることは稀で、ほとんどが小雨や霧雨でした。そのため、現地の方もよく防水加工のジャケットを羽織っており、一枚持っていくことをお勧めします。なお、カバンも防水仕様だとなお良いでしょう。
私はキャンパスがあるヒルズボロの中心部に住んでいました。その中心街では、ホームレスの方を見かけることも稀にありましたが、特に問題はありませんでした。
一方、大都市であるポートランドでは、明るい時間帯でも危険な雰囲気の方がいることがありました。そうした方を察した際は、すぐに距離をとるか、周りの大人(特に男性)の近くにいるように心がけていました。道が一本違うだけで、街と人の雰囲気が大きく変わることを痛感しました。
休日は、ほとんど現地でできた友人たちと一緒に出かけて過ごしました。例えば、映画やショッピング、ディナークルーズ、高校のアメフト観戦といったアクティビティに加え、個人的にファーマーズマーケットやサタデーマーケット、音楽コンサートにも頻繁に足を運び、現地の文化や人々とのふれあいを直接体験しました。また、滝やビーチ、山など自然豊かな場所へ遠出することもありました。さらに、友人の家にお泊まりしてメキシカン料理を堪能したり、ハロウィン、誕生日、ピザパーティーなどを開いたりと、生活に密着した交流も多かったです。おかげさまで、数えきれないほどの貴重な思い出ができました。


滞在中は自然の豊かさも魅力でした。リスやアライグマ、色鮮やかな鳥など、日常の散策中に多くの動物と出会えたことは、大きな癒しとなりました。また、時期的に紅葉シーズンと重なり、どの道も落ち葉の絨毯のように美しかったことも印象に残っています。

留学先の交通機関(バス・電車)は、思っていた以上に快適で清潔でした。また、一度体験してしまえば利用方法は簡単で、その後は迷うことなく乗ることができました。主要スポットや市街地には、ほとんどバスや電車で行くことができるため、非常に便利です。Google Mapを使えば、遅延情報などもリアルタイムで把握できるので、安心して行動できました。
文化面では、年代を問わず街全体が盛り上がるアメリカのハロウィンを体験できたことも貴重でした。家々が趣向を凝らして施す本格的な装飾を見て回るのも、街の散策の楽しみの一つでした。
交流面では、バスで30分の距離にある他のキャンパスのイベントや日本語の授業にも参加し、現地の学生と交流する機会を持ちました。日本語を学んでいる現地の学生とは、相手は日本語、私は英語で話すことで、お互いにとって良い勉強になりました。また、そこで出会った他の日本人留学生とは、留学生だからこそ分かり合える悩みや、互いの新鮮な視点を共有でき、非常に有意義な時間となりました。偶然の出会いでしたが、彼らとの交流も続いており、留学がくれた大切なご縁だと感じています。


様々な業態の薬局、病院、政府機関などを見学した際、自分でも驚くほど多くの疑問が次々と湧き上がってきました。それらの疑問を解消し理解するために、主体的に質問し、そこからさらに踏み込んだコミュニケーションを取れたことは、非常に良い経験となりました。こうした着眼点を持てたのは、留学の直前まで日本で半年間の薬局・病院実習を行っていたからだと感じています。実習で得た知識や問題意識があったからこそ、日米の医療の違いを実際に感じ、それぞれの良さや課題が分かりました。また、それぞれの国の文化的背景や重要視している価値観、例えば効率性、安心安全、平等性が、医療制度や現場の実践にどのように反映されているかを深く考えるきっかけとなりました。このように、明確な比較の視点を持って臨めたからこそ、このプログラムが実習後に設定されていることの意義を強く実感しました。
成長したと思う点は、目の前のチャンスを掴むため、あらゆる行動力を発揮できたことです。例えば、今回の留学の最大の目標の一つでもあった、「留学期間だけの友人」ではなく「生涯続く友人」を作ることにおいても、その行動力を発揮できたと感じています。そのために、短期間の中でも、自分の興味を伝えるだけでなく、「相手の文化や個人的な興味を、迅速に共に体験する」という行動を徹底し、相手への強い関心と誠実さを示しました。その結果、「私が日本に行ったら~」や「あなたが戻ってきたときは~」のような未来志向の会話が友人から自然と出るようになり、今後も継続していくであろう友好関係を自ら築くことができたと実感しています。

今回の留学では、専門知識に加えて、大きく3つのことを学びました。それは「広い視野を持つこと」「主体的に行動すること」、そして「継続的な関係性を築く大切さ」です。
日米の医療現場や文化を比較した経験を通じて、広い視野を持つことの重要性を学びました。これからも、既存の「当たり前」にとらわれず、多角的な視点で物事を捉え直す柔軟性を持ち続けたいです。そして多様な価値観に触れた経験は、異なる背景を持つ人々と協力していく上で役立つと確信しています。
また、留学中は未知のことにも主体的に挑戦することを心がけました。自らチャンスを探し、疑問に思ったことは積極的に質問して理解を深めた経験は、今後の学習や業務においても、臆せずに取り組む姿勢につながると信じています。
特に大切にしたいのは、「継続的な信頼関係を築く姿勢」です。留学先で異文化の中に飛び込み、現地の人々と深く関わろうと努めたように、将来、患者様や医療チームの方々とも、一時的ではない、長期的な信頼関係を築くことを第一に考えて行動したいです。
今回の留学で得た学びを一時的なもので終わらせず、これからの行動につなげていくことが重要だと感じています。日本での薬局・病院実習での課題意識が留学での行動につながり、その行動が新たな出会いを生んだように、今後も「行動し、学び、次へ活かす」という流れを大切にしていきたいです。この経験を糧にして、社会に貢献できる人材になれるよう、これからも学び続けます。

この留学を考えている皆さんは、就職活動、研究、勉強など、時間が限られた中での参加に多くの不安を抱えているかもしれません。私自身、参加を決意するまでには迷いもありましたが、今では「もし参加しなかったら絶対に後悔していた」と断言できるほど、充実した留学生活を送ることができました。だからこそ、留学に興味がある方には、ぜひ参加を前向きに検討してみていただけたら嬉しいです。価値が十分にある、素晴らしい経験になると思います。
私自身、決して英語が流暢なわけではありません。しかし、拙くても「伝えたい」という気持ちとやる気があれば、相手はそれを素直に受け取ってくださいます。留学当初と比べ、最後には自分の意見が伝わり、会話のキャッチボールがうまくいくようになったと実感しています。実際、行きと帰りのタクシー運転手が同じ方だったのですが、帰り際に「とても変わったね、英語が良くなっている」などと言っていただき、会話も弾みました。この経験は、次へ成長するための大きな自信となっています。
私が学んだのは、間違いを恐れず、思ったことをすぐに伝えること、そして感情をいつも以上に豊かに表現し共有することが、言語の壁を越える最高のコミュニケーションだということです。ぜひ、皆さんもこれを実践してみてください。きっと最高の留学経験になるはずです。
今回は私一人の参加でしたが、何事も自分で判断して行動し、安全や健康、生活リズムのすべてを自己管理する経験は、非常に貴重なものとなりました。社会人になる前の大きなステップとして、最高のスタートを切ることができたと感じています。
こうした充実した日々を送ることができたのは、周りの方々のホスピタリティ溢れる優しいサポートがあったからです。この留学に参加できたことを心から嬉しく思うとともに、これほど素敵な経験をさせてくださったパシフィック大学の皆様、本学のご担当者様、そして関わったすべての方に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

TOP