星薬科大学の児玉耕太教授らの研究グループは、立命館大学、延世大学校、ハルビン工科大学との国際共同研究により、東アジア(日本・韓国・中国)のIT政策・デジタル/モバイルヘルスを含む医療機器規制の分析と、若年層を対象としたアンケートによるモバイルヘルスの利用実態・今後の利用意向調査を実施しました。この結果、日本・韓国・中国で政策に差異があるが、それぞれにデジタル/モバイルヘルスを受け入れる社会基盤の整備が進んでいること、また、若年層のモバイルヘルスの利用意向は高いことを明らかにし、東アジアの若年層は医療用モバイルヘルスの導入に適した層であることを示しました。
この成果は、8月6日に学術誌『ドラッグ・ディスカバリー・トゥデイ(Drug Discovery Today)』に発表されました。
【研究成果のポイント】
(注1)モバイルヘルス
ヘルスケアをサポートするために利用されるモバイルアプリケーションの総称。健康増進に用いられるものから治療に用いられるものまであり、家庭用のものから医療機器として規制されるものまである。歩数、体動、心拍数、心電図、体温、呼吸などの生理的データを取得するウエラブルデバイスと、データ処理・蓄積または転送デバイスを構成要素に持つ。後者についてはスマートフォンを利用するものもある。
【概要】
星薬科大学薬学部医療データサイエンス研究室の児玉耕太教授(責任著者、北海道大学客員教授、立命館大学教授)と蔭山逸行助教は、Tack Joong Kim教授(延世大学校)、Xitong GUO教授(ハルビン工科大学)、林永周准教授(立命館大学)らとの共同研究で、IT政策・デジタル/モバイルヘルスを含む医療機器規制の分析と、若年層を対象としたアンケートによるモバイルヘルスの利用実態・今後の利用意向調査を実施しました。
この結果、日本・韓国・中国でそれぞれに重視される社会課題に応じた政策が展開され、その戦略には差異があるものの、それぞれにデジタル/モバイルヘルスを受け入れる社会基盤の整備が進んでいることが明らかになりました。また、アンケート結果から若年層におけるモバイルヘルスの利用実態は各国で差があったものの、すべての国でモバイルヘルスの利用意向は高いことが明らかになりました。
これらの結果から、東アジアの若年層は医療用モバイルヘルスの導入に適した層であることが示されました。この成果は今後、日本及び東アジアにおいて若年層を対象とした医療用モバイルヘルスの導入の実現性が期待できることを示すものであり、この知見はモバイルヘルスを利用した地域包括的医療の構築やモバイルデバイスを活用した医薬品の研究開発に活用できるものです。
研究成果は2024年8月6日にエルゼビア社の学術誌『ドラッグ・ディスカバリー・トゥデイ(Drug Discovery Today)』オンライン版に掲載されました。
【論文タイトル】
Promoting the social implementation of digital and mobile health: Effect of regulation on user & non-user behavior in East Asian countries
デジタルヘルスとモバイルヘルスの社会実装の促進: 東アジア諸国における規制がユーザーと非ユーザーの行動に及ぼす影響
【掲載誌】
学術誌『Drug Discovery Today』
doi; 10.1016/j.drudis.2024.104136
【問い合わせ先】
<研究に関すること>
星薬科大学薬学部・医療データサイエンス研究室
教授 児玉 耕太 (KODAMA Kota)
E-mail:kodama.kota[at]hoshi.ac.jp
<報道に関すること>
星薬科大学イノベーションセンター
部長 吉田秀保
〒142-8501東京都品川区荏原2-4-41
E-mail:h-yoshida[at]hoshi.ac.jp
マージシステム株式会社
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