INTERVIEW

地域医療の要として、公立病院薬剤師の誇りを胸に患者さんの生活を支える

薬学科1995年卒業
星薬科大学大学院 薬学研究科薬学専攻修士課程1997年修了
川崎市立井田病院 副薬剤部長
小林 岳さん

市民の健康を支える医療サービスの礎に。
公立病院の薬剤師として、地域住民の最後の砦であり続ける。

川崎市職員として川崎市立井田病院に勤務する小林岳さんは、副薬剤部長として地域医療の最前線に立ち続けています。公立病院の特性上、患者さんからは「市立病院なら最後は何とかしてくれる」という強い期待が寄せられ、小林さんはその期待に応えるため、日々高い責任感を持って業務にあたっています。 「川崎市立の病院である以上、患者さんや地域住民に対して、公立病院ならではの安心感を提供することが求められます。民間病院とは異なり、私たちは地域医療のセーフティーネットとしての役割を果たさなければなりません」
特に、急性期の治療だけでなく、緩和ケアや地域包括ケアなど、長期的な療養支援にも力を入れる井田病院では、薬剤師としての役割が多岐にわたります。
「実は学生時代、公務員の薬剤師という進路は考えていませんでした」と小林さんは振り返ります。当時は製薬企業への就職が人気で、病院薬剤師と薬局薬剤師の分業が進んでいない時代。そんな中、研究室の教授から「公務員という道もあるよね」と声をかけられたことが、運命を変えるきっかけとなったといいます。

川崎市職員となった小林さんは、最初の22年間を川崎市立川崎病院で過ごし、6年前に現在の井田病院へ。「川崎病院は急性期医療の最前線、井田病院は地域に根ざした医療の拠点と、それぞれ特色が異なります。」川崎市の医療を包括的に担うために両方の経験を積むことが求められました。
小林さんは川崎市の職員として、薬剤師業務に留まらず、医療全体を支える役割を担うことにも誇りを感じています。川崎市は地域医療の一環として、患者が自宅に戻り生活を続けられるよう、地域の薬局、病院と連携した継続的な療養支援を行っており、井田病院はその要としての役割を担っています。
「市立病院の薬剤師として働く中で、患者さんからは時に『税金でやっているんだから』という意識を持たれることもありますが、それが私たちの責任感を一層強くしてくれるのです。日々の業務の中でも、また様々な会議の場でも『対市民サービス』という言葉がよく出てきます。それは民間病院では見られない特徴です。その言葉を聞くたびに、川崎市の職員として市民の方々を医療の面からバックアップするという使命を実感します」
そうした強い思いは病棟業務における患者さんとの接し方に現れています。一人の患者さんと体調のことから日々の暮らしのことまで2時間近く対話することもあったといいます。「患者さんに『市立病院だから来ている』と言われることも多く、私たちの存在意義を実感します。薬の相談だけでなく、生活全般の悩みまで、何でも話せる存在でありたいと思っています。それこそが、市民のためにある公立病院の薬剤師としての誇りであり、やりがいにもつながっています」

人とのつながりが、次世代の薬剤師を育む。
星薬で培った絆と探究心が、今日の地域医療を支える力に。

小林さんの地域医療への情熱と、薬剤師としての矜持の原点は、星薬科大学での学びに遡ります。
「コンパクトな大学だからこそ生まれる人とのつながりの中で、私自身も多くを学びました。教職員との距離はもちろん、先輩後輩の縦のつながり、同級生同士の横のつながりも自然と生まれやすい。研究室の先輩が気軽に立ち寄って、製薬会社での研究の話や臨床開発の経験を話してくれたり。そういった交流が、自然と視野を広げてくれました。今でも大切にしているコミュニケーション力の基礎も、この環境で培われたものです。地域医療においても、薬局や医療機関との連携が非常に重要です」
井田病院では定期的に病院近隣の薬局とオンラインミーティングを開催。小林さんは大学時代に磨いたコミュニケーション力を活かし、多くの医療関係者と関わり合いながら地域全体で患者さんを支える体制を整えています。
「星薬科大学のコンパクトさが生む距離の近さこそが、私たちの強みなんです。後輩たちには、そうした強みを活かしてほしい。総合病院を持たない分、学生たちは様々な特色を持つ病院で実習を行い、多様な経験を積むことができます。同級生それぞれが異なる病院で実習を行い、そこで得た貴重な経験を持ち帰って共有する。大学のコンパクトさを活かして、その経験を交換し合える。一人では得られない大きな学びになるんです。
薬剤師の仕事は、薬物治療だけでなく、患者さんの生活全体を見つめ、支えることにあります。星薬科大学で学ぶ皆さんには、この恵まれた環境を活かして人とのつながりを大切にしながら、探究心を持ち続け、広い視野で医療に貢献してほしいと思います」

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